【就活・業界研究】商社の業界を知ろう!業界情報のまとめノート
商社は、「商業を主体として行う企業」と定義されています。ただし、これだけでは商社の姿はわかりません。
このページでは、商社についての基本的なことを簡潔に解説します。どうぞ業界研究に役立ててください。
広告
商社の前に:卸売とは
製造と小売りの中間に位置する経済活動を行う業種。小売が小さい間は存在できましたが、小売が大規模化することでメーカーからの直接仕入れがなされるようになり、再編を余儀なくされています。商社の事業内容
商社は、広い意味での卸売業を行います。卸売業とは、製造側と小売り側の中間に位置する販売活動を行う業種で、問屋に属します。
商社の扱う分野は、一言では言えません。3行でも表現できません。それほど広い範囲を扱っています。「ラーメンから航空機まで」という言葉があるほどです。他の業界を内包することもあるくらいです。
商社の仕事は、次の3つに分類されます。
流通業務
商品を輸送すると言った業務です(実際にトラックで商品を運ぶと言うわけではなく、小売業者の注文を仲立ちすると言う形、トラックで運ぶのは運送業)。
グローバルな立場で考えると、貿易も流通業務の一つです。商社の中心業務は、貿易です。特に総合商社(子会社含む)では。
例えば、原料を輸入する仲立ちをしたり、日本企業の作った商品を海外に売却する仲立ちをして利益を得ます。
流通業務を行うために、商社自らが商品を企画して、その商品を売るために宣伝を行ったりすることもあります。企業に対して商品の改善案を出すことも。
場合によっては、メーカーに外注して作った商品を自社ブランドで売るようなことまでしてしまったり。あまりいいことかどうかは別として。
投資・金融関連
既存の業務を子会社を作って移管する(総合商社のみ)、他の事業者や会社に投資を行うこともする。そして、投資した企業と販売・貿易業務をする。
現在の総合商社の役割は、多くがこちらで、旧来の流通の業務は子会社に任せていることも。
悪い言葉で言えばコンツェルンですね。
情報を入手・蓄えること
情報は商人の生命線です。商社としての上2つの業務を遂行するためには情報が必要です。どこに資源があるのか、何を売っているのか。その関連の情報を収集することが商人の義務です。
商社は、専門のIT子会社を持つこともあります。情報処理がことさら重要になっているからです。
総合商社/専門商社
総合商社
専門商社の対義語で、多種多様な分野を担当する商社。現在は、単純な販売などは子会社を作って委託して、本社は投資活動やマーケティングなどを行うことが多くなっています。
総合商社とグループ会社は、コンツェルンの構造です。総合商社=親会社、子会社、孫会社など=グループの企業です。
扱っているものが多岐にわたるため、どれかがダメになったりしても他で補う戦術が可能です。ほとぼりが冷めたら、疲弊した専門商社をしり目に普通に動くこともできます。
例えば石油バブルが2008年に起こり、そして暴落しました。さらに、シェールガスの台頭でベース自体も暴落。資源しか扱わない商社ならピンチですが、それ以外があるならそれで補えますよね。
専門商社
特定の分野や業種に置いて活動している商社。しばしば、総合商社の子会社として生きていることもあります。一方で、本当の意味での、子会社とか関係ない専門商社もあります(企業名で判別出来たり)。
投資が主体となる総合商社と異なり、商社らしいことを行います。
専門商社は、専門的な技術でしか戦わないため、専門的な知識やノウハウはたくさんあります。子会社でなければ、総合商社の本社の干渉を受けずに独自で専門性を発揮することもできます。
弱点としては、専門分野の景気が悪くなったら大変です。例えば資源の商社で資源の需要が無くなったら、ピンチです。
企業の例
ここでは総合商社の7社を扱います。専門商社は、主要なものの列挙に止めておきます。
三菱商事
グループ主義、「組織の三菱」。単体個人では弱いが、組織力の高さを生かして戦っています。
伊藤忠商事
体育会傾向。例えば登山研修などがあるといいます。時代の変化で薄まりつつはあるものの、体育会系であることは間違いありません。もっとも自由な社風、個性的な社員がいこごち悪いことはないですが。
給与は年功序列。非財閥系。
丸紅
紙・パルプ・電力・食料関連が得意。
最初は年功序列。8年目までは固定給でエスカレータ式の増加。
三井物産
基本的には良い人材の抜粋を重視します。個人の裁量が大きい。個人主義の社風があります。グループで動く主義の人は合わないこと間違いなしです。
住友商事
会社としては堅実な経営。弱点としては、時代の変化に対応する能力が会社として低く保守的で新しいことをやることが苦手なところです。
リスクマネジメント重視、プロセス重視。若手の発信権限は弱い。給料でない面も含めて年功序列。ぬるま湯。
豊田通商
「トヨタグループ」の総合商社。トヨタという企業の性質を持ちます。
「者に聞くな、物に聞け」(人の話を鵜呑みにせず自分の目で確かめろ)、「三現主義」が示すように、現場主義でものごとを考える傾向にあります。
「三現主義」で評価をしよう双日
合併して生まれた企業。中堅総合商社。
典型的な体育会系の企業です。合併により人の流入/流出が激しい。多彩なキャリアを持つ社員が多く、一度やめて戻ってきた人もいます。
商社についての誤解
総合商社に入る人は、総合商社=何でもできると思っている人も多いかもしれません。確かに志望業界が決まっていないのであれば絶好の世界で、広い視野で見つめると言う人は惹かれるかもしれません。
残念ながら、総合商社は、本社を除いては、専門商社の集まり。複数の業界を渡り歩くのはあまりないのでしょうが。実際には、配属先の業界が決定し次第、ずっとそこで働きます。転職しても、移れることはまずはありません。
商社のやりがい・魅力など
商社は基本的にはビジネスは用意されているものではなく、見つける/作るものです。他の企業は例えば「自社の作れる」肉を売る、「自社で作れる」チョコを売るなど、売るものに制約があります。取引先を見つけなければいけません。
総合商社の場合、制約なしです。どんな製品でも売ることができます。ビジネスチャンスを感じたら、すぐに動いて営業して取引先を作ったり新しい事業の投資をしたり企画したりできます。
専門商社は、売る分野に制約はあるものの、ビジネスを発見すると言う考え方はあるようです。
そして商社の扱うお金の規模と言うのは目をはるものです。貿易などの大掛かりな商売では、数百億単位で扱うことも珍しくありません。