志望動機の基本的な書き方と、間違った志望動機
志望動機の基本的な考え方
志望動機を考えるのは面倒です。正直やりたくありません。就活生時代は5時間かけて文章を考えたりしました。しかし就活生は志望動機を考えることを強いられます。
たいていの就活生は、どこの企業でも通用するような志望動機を面接官にぶつけます。テンプレートはだいたい決まっていますが、その一例をまずは紹介します。
「私は、S社(IT系)に入って、成長したいです。」(要約内容がこれ。実際にいました)
私はこう反論したいです。
「その志望動機では弱いですね。成長なら、××社はどうですか?ここならもっともっと成長できますよ」
その通りです。成長できるのであれば、他に業界なんて関係なく成長できる企業があれば行けばいいのです。
上記のような志望動機はほとんどどの会社や業界でも通用するものです。受けている企業の志望動機ではありません。 成長してほしい、貢献してほしいのはどの企業でも同じです。この企業に入りたい理由でも何でもありません。
それでは、どんなことを志望動機に書けばいいのでしょうか?
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志望動機の流れと書き方
志望動機は、書式としては様々ですが、このような順番で書くことをお勧めします。これはどの企業でも同じです。
- 業界に入りたい理由
- 業界の中で、〇〇社に入りたい理由
- 〇〇社に入ったら、何をしていきたいのか
具体的には以下のようになります。
(前置き) 私が765プロを志望する理由は、アイドルプロデュースをしたいからです。 (業界に入りたい理由) なぜなら、小さいころから、アイドルのプロデュースに興味があったからです。テレビでアイドルを見て、みんなに笑顔を運ぶこと。そのお手伝いをしたいと思いました。 (その企業にしかないことを掲げる) さらに、御社はアイドルとプロデューサーの距離が短いと言う利点を見出しました… (企業でできること、がんばりたいこと) 御社であれば、アイドルと向き合いながら育てることができます。私の長所であるフレンドリーな性格を活かして、アイドルをたくさんプロデュースしたいと思い志望しました。
基本的にはこのような流れになると思います。これはほんの一例です。自分にピッタリなスタイルがあったらそちらを優先させてください。
志望動機に書くべき項目
志望動機に必ず書くべき項目としては、以下のようなものになります。
- 志望している企業の業界や職種を選んだ理由
- 企業で何をしたいのか、どんな仕事をしたいのか、何ができるのか
- 志望企業に入ったらできること、貢献したい事柄
- 企業選びの軸
- 志望企業を選んだ理由
これらを基にして志望動機を考えるわけですが、「志望企業にしか通用しないような志望動機」を考えるのは至難の業です。 殆どの時間を、ここしかないような志望動機の部分に使います。
「志望企業にしか通じない志望動機」の考え方
※ちょっと難しいですが、しっかり考えてほしいところです。
志望企業にしか通じない志望動機にするには、志望企業しか持たない(と思われる)要素を抜き出すのが基本です。 すでに業界に入りたい理由については述べました。企業それぞれのことを考えてみましょう。
例を取り上げてみます。実際にはない企業ですが、こんなふうに考えればいいです。
企業名 | 社風 | アイドル育成方針 | 規模 |
765プロ | アットホーム(社内のみ) | 友達に近い | 中小企業 |
346プロ | ドライな社風 | アイドルには、個人主義でドライに接する | 大企業 |
たとえばAさんは、もともとアイドルのプロデューサーになりたいと言う意思があり、自分のフレンドリーな性格と、 765プロのアイドルの育成方針や企業のアットホームな雰囲気が気に入ったため、大企業である他企業を蹴ってまで765プロを志望企業としました。 彼は、フレンドリーな社風が好きなのです。性格と合わせて。
企業ごとに精製された志望動機は、他の企業で出しても無意味です。そのかわり、説得力のある志望動機を得られます。本当に行きたいならその理由を掲げられるよね!
以下を例に、アピールの仕方を含めて提示します。ただしこれがすべてではなく、自分が気に入ったところを攻めてください。
- 企画職、技術者としてずっと活躍可能かどうか たいていの企業は昇進すると技術者の仕事がしにくくなることもあります、ということを説明します。
- 成果主義の社風・若者が活躍できる環境 技術を上げれば、自分でも前線に立てる、他社は下積みの期間が長いなど。
- 人材育成方針から攻める! O社の場合、自分の長所を生かせるということ、他社では型にはめるということを説明したりします。
- 仕事内容・事業内容の詳細を攻める! データベースに興味があり、データベースのサポート業をしているところが気に入りました、など(オラクルやコーソルくらいしかしていません)。業界研究の枠組みを超えた内容でなければいけません。
志望動機の悪い例
志望動機の悪い例を紹介します。真似をしてはいけません。就活サイトにも就活本にも掲載されていることがありますが、この志望動機で採用される企業はほとんど無いと思ってください。
- 近いからです、歩いて10分など
- 私は御社の企業理念に共感したので志望しました…
- 御社に将来性を感じたからです…
- 貢献したいです…
近くないといけない理由などありません。この志望動機では、面接がある場合は高校も合格できません。本音かもしれませんが、就職活動ではもっとよい建前で主張してください。
もしあなたが家から1km以上離れたら死ぬなら別ですが。
こういう場合は、多少突っ込まれるだけで破綻するタイプです。面接ではいろいろと深掘りされることも多く、浅い考察しか行っていないことが露呈してしまいます。
「地域貢献…社会貢献…」
いったいなぜ、共感したのか。あと、地域貢献するならどこでもいいのでは???ねえ。そうでしょう(威圧)
「成長するという風土に共感しました」
それなら他社でいいですよね?そんな企業、探せばいくらでもありますよ。
「顧客第一のルールに共感しました」
それはそれでいいのですが、建前でも顧客第一でない企業って、サウスウ●スト航空位だよね?実際、サウスウ●スト航空は、従業員第一顧客第二を掲げているくらいですが、そんな企業は例外です(その一方でお客さんの評判はいいらしい)。
ちょっと突っ込まれるくらいで破綻する志望動機に何の価値もありません。
企業理念を暗記していても、無駄な努力。無意味です。
参考:ESで「経営理念に共感」するとダメな理由この一言だけを言った場合、突っ込みどころはいくつかあります。
まずは何で将来性を感じたか。就活生は素人です。将来性など分かるはずないです。業界の将来性はわかっても、企業ごとの将来性はわかりません。もしビジネスの経験者で、将来性がわかると言うのであれば、就活というくだらんものを止めて起業した方が絶対いいです。
次に、就活生の姿勢についてです。将来性がある業界、つまりこの先も潰れる心配なく大きくなる業界や会社にいたいと言っているのです。言い換えると寄らば大樹の陰です。
貢献できない企業などありません。この志望動機では、他の企業に入りたいという思いが見えています。どうぞよそに行ってください。
ここでしか通用しないものを書くのが難しい場合は…(2017.02.17追記)
企業研究が本当に無理!という場合。それは、次の2つが考えられます。企業研究不足
たいていがこれ。IT企業もシステム開発をすると言う知識しかなく、他の知識が不足している場合。これではどんな魅力があるのかも区別できないです。そもそも魅力を感じていない
あらさがしをするレベルで志望動機を考えるのであれば、本当は魅力も差別化点もないのかもしれません。
いくら考えても見つからないなら、そんな企業を受けるのをやめて、企業をもっとたくさん探してみては。あるいはもっと魅力のある企業にリソースを集中させてください。魅力があれば自然と書けるはずです。
企業を選ぶ段階で失敗した不良品と思って捨てるのも戦術です。
ただし、企業研究が前提です。まとめ
就職活動でもっとも大変なのが、志望動機です。志望動機には自己分析や業界研究、企業研究の3要素をすべて掛け合わせないと書けないもので、 すぐに書けるようなものではありません。
大変だと思うけど、これがないと無理です。就活生、志望動機を考えて、さあ、輝きの向こう側へ!
2017.02.17:冗長な表現の訂正、一部追加 2016.09.09追記:一部書き直し(id=18からid=22に変更)